東銀座の東劇、3月6日の3時10分の回を鑑賞。おや?意外と男性の観客も多いな、という印象。自分はひとりで行きましたが、ご夫婦とかカップルが多めだった気がします。
舞台とは違って平面のスクリーン上映とは言え、大迫力!
本場のブロードウエイ、しかも演劇界の最高の栄誉であるトニー賞受賞作品の「キンキーブーツ」を日本の映画館で観られるとは、ありがたいことです。
鑑賞直後の感想を一行で言うと…
「うわー、やる気出た。くすぶっていた気分、完全払拭!」です。
これは、劇場出てすぐ!立ったままスマホにメモしたので間違いありません。
やっぱり感想だって、鑑賞直後の心ほやほや、興奮マックスの時が、最も純度が高いと思うんです。
ミュージカルだから当然とは言え、まず歌がすごい、歌が。そしてダンスとユーモア。これがニューヨーク・ブロードウエイなんだな、とさすがに驚かされます…
これを観て、この役をやろうと決意した小池徹平さんと三浦春馬さんは、凄い精神力の持ち主です。個人的には、小池徹平さんも演じたチャーリー役のキリアン・ドネリーさんの歌声には、こんなに歌うまい人いるのかってくらい感心しました。
キンキーブーツって、直訳すると「へんなブーツ」ってこと。
イギリスの靴工場が、倒産寸前の工場を立て直すために、へんなブーツ(女装する男性用のブーツ)を作ったという実話がドキュメンタリー番組になり、フィクションを加えて映画化され、さらにこんなにも人を勇気づけるミュージカルにまで発展させるとは!
まずは、題材と着想の面白さに感心してしまう。この実話から靴工場の息子チャーリーとドラァグクイーン(女装で行うパフォーマー)のローラという2人を中心とした物語を生み出したことに驚く。脚本はハーヴェイ・ファイアスタイン。
そして楽曲はシンディローパー。仮に知らないで観たとしても「わお、シンディローパー節!」と感じられるフレーズがあり、ノリノリな気分に拍車をかけてくれました。
終盤の頃には、自分の多少の欠点や見目形、頭の良しあし、能力の有無、収入の高い低いなどなどは、この際どうでもよい。という実におおらかな、そして力強い気分になっておりました…今、3日ほど経ちましたが、割と効果は持続しています。三日も持続してくれれば何かしらできますから、御の字です。
鑑賞後しばらく、YouTubeで、日本版の「キンキー・ブーツ」の観れる箇所をあれこれ観ていたのですが、ふと気が付いたことがありました。
小池徹平さんが三浦春馬さんに「ブーツを作ろう!」と言って2人抱き合うシーンなのですが、2016年度と2019年度では、三浦春馬さんの表情が全然違うではありませんか。「父さんの期待に応えられなかった」という2人の痛みの共有。お互いの理解。心が触れ合う瞬間。その時の顔が違う…ということは、演技を変えているのではないかと思うんです。3年経って本人の変化に伴ってとらえ方が変わったのかもしれませんし、舞台は生ものですから一回一回違うのかもしれません。そこがまた舞台の何物にも代えられない魅力なのでしょう。
こうなると、完全にハマってしまったというか、YouTubeで部分的に観ていても、ニューヨーク・ブロードウエイ版を頭の中で重ねることができるので、ますます面白くなってきました。ただ、ますます日本版が観たくなってしまうのが本当に困ります…できれば2016年度版と2019年度版の両方ね。
今のところ(3月9日現在)、映画.comで見ると、東京では3館、全国では9館だけの上映ですが、松竹ブロードウェイシネマのサイトで見たら、3月19日~12館追加、4月9日~1館追加上映になっていました。
東京では、立川シネマシティが追加劇場とされていたのですが、ここは音響が良いことで有名なので、もう一度観るなら立川まで行く価値はあるなと思っております。
世界には映画も舞台も小説もあふれていて、でも、そんなに沢山は観たり読んだりできなくて。だからこそ、本当にいい作品に出会いたいです。今回は満足度10。