ついに、真犯人は「ほぼ」瑛太、という証拠を見つけたね。大スクープ!ジャーナリストって名乗ってもいいよ!
これまでも、ゴードンの愚直な取材の様子がコミカルに描かれてきたが、ここまでたどり着いたのは、ゴードンの自己開示の力だと思った。プロのマスコミの方々の「質問しているんだか、責め立てているんだか」よくわからない取材よりずっといい!
特に8話の取材対象は、八頭尾山で殺された中学生、中村優香さんの友達の女のコ。デリケートな年頃だし引きこもっている状態だし、かなり難しいはずだが、「君の気持ちはわからないけど、わからないから聞いてみるしかないけど」という実直な態度が彼女の心を開いたんだろう。ゴードンが自己開示した直後、彼女はいつも肝心なことを話した。決定的な情報を得た瞬間、鼻血が出たのも良かった。
しかし、あくまで「ほぼ」がつく。ほぼ瑛太!ほぼ確定!
決定的証拠となった「黒いストール」は、殺された優香さんが「もらった(瑛太から)」と言って嬉しそうに首に巻いていたもの。瑛太の元所有物であれば、瑛太のDNAが検出される可能性がある…ゴードンは優香さんのお母さんに土下座してまで、遺品の中から「黒いストール」を入手。DNA鑑定に出してみると、なんと!優香さんの前に殺された(12年前)井川晴美さんの殺害時衣服(スカート)から検出されたDNAと一致したのだ。これは、連続殺人だ。黒いストールの持ち主が八頭尾山連続殺人事件の真犯人と言える。
それでもまだ、「ほぼ」真犯人と、しつこく「ほぼ」をつけているのには理由がある。もし、その黒いストールが、瑛太もまた誰かからもらったものだったら?その誰かが真犯人ってことになる。海外に逃亡してしまったであろう瑛太の身体から検出されたDNAと一致しない限り、断定はできない。
たぶん瑛太は最後まで「真犯人」ではなく「真犯人かもしれない男」のままなのかも。なぜならば、黒いストールと晴美さんのスカートのDNAが一致し、かつ瑛太と優香さんが各々ストールを巻いている証拠写真もある。にもかかわらず、瑛太本人のDNA鑑定は「任意」なんだそうだ…解せない….ここまで明確な証拠があるなら、強制で良くないですか!?むしろDNA鑑定を嫌がるとか、海外逃亡すること自体、犯人ですって言っているようなもんだ。
「長いものには巻かれろ」とは言え、黒くて不潔そうなストールには巻かれたくない!
この真犯人の決定的な証拠を「黒いストール」にしたのは、なんてシニカルだと大いに感心する。いやシニカルなんてカタカナで軽く済ませられるもんじゃない、ピリリと効かせた嫌味に違いない。
勝ち組で居続けるためには、長いもの(自分より力のあるもの、権力)に巻かれる(従う)のがコツ、と言ったのは、ゴードンの学校の友達だったが、別に勝ち組でも負け組でも花組でも、確かに言えるかもしれない。ある程度は。
自分はエリートじゃないぶん、巻かれているものは短くて細いような気もするが、それでも日本という国に守られているわけで。
どうせ巻かれるなら、ふかふかと柔らかくて温かい長いものがいい。できれば清潔であると有り難い。少なくとも黒くて不潔そうな瑛太のストールみたいなのは御免こうむりたい。
瑛太の黒いストールは、大門副総理を支えてきたお父さん(本城建託社長)の黒くて不潔そうな権力そのものに思える。DNAが検出されたということは、ひげや髪の毛、唾液などが付着していたはずで、かなり愛用していたんじゃないのかな、そのストール。
長い間、お父さんの黒い権力を首に巻いて育った瑛太はどんな気分で生きていたんだろうか。長男だから巻き加減はかなり強かったろう。だから、猟奇的殺人をしていいわけはないけど、何か病的なものが連続して人を殺すなら、いくら息子とて野放しにはできないはずだが….真犯人確定ができないんじゃ、この辺も闇に葬られてしまうのか….
パンドラの箱を開けると、災いが飛び出してくる。
真犯人が誰なのか?その答えの証拠を手にした途端、ゴードンに災いが降り掛かってきた。これまでも職場を異動させられたりはしたが、8話ではついに解雇処分されてしまった。平川刑事に情報量として50万円払ったり、決定的証拠写真を入手するために平川刑事を脅迫してしまったり…言わば不正を正すために不正を働く、という場面がゴードンにもあったことは事実だが、実際には背後の権力に仕掛けられた罠だったのかもしれない。
大門副総理がどうしても探してほしくなかった真犯人を見つけてしまったのだから、周囲から迫害されるのは当然とも言えるが、長澤まさみまであちら側に行ってしまったのは、辛すぎだろう。
ゴードンのモノローグでは、長澤まさみの簡単さに救われていたから、今までは周りが敵だらけでも孤独でも平気でいられた。そうじゃなくなってから、そのことに気づいた。と言う。
簡単さ、っていう言葉が面白いが、長澤まさみがゴードンのシンプルな軸になっていたんだろう。いつでも「正しいことをすればいい。そうすれば道は自然に開ける」と。振り返れば、いつでもそう言ってくれる人がいたから、ゴードンは真実を掴むために突き進めた。
パンドラの箱は8割ほど開けてしまった。しかし、長澤まさみが近くにいなくなっても、へばるのはまだ早い。次回9話では大門副総裁の秘書で娘婿に取材するようだ。いよいよパンドラの箱の核心部分を開くのかもしれない。
瑛太に関しては、猟奇的性質(という言葉だけで片付けてはいけないが)という理解のアプローチも考えられるが、大門副総理については、一体どんな了見なのか?興味が深まる。
副総理として良い社会を作ることは、グレーのお金をたくさんもらわないとできないのか?それとも、例えばどうしても総理大臣に昇格して見返してやりたい奴がいる等、超個人的な理由でグレーのお金が必要なのか?
えらい人の都合の悪いことは報道しないし、えらい人が犯人にしたい人を犯人にする。そんなマジで分けわかんない世の中が一体全体どうやったら作れてしまうのか?そこんとこ、ちゃんと聞いてきてよ、って長澤まさみからゴードンに言ってほしい。
失って思うことだけど、長澤まさみとゴードンの先輩後輩の関係性がしみじみ良かった。長澤まさみがバカバカバカバカと言って殴りかかれる人なんてゴードンしかいないし、長澤まさみが「調べておいて。私はほんと時間ないから」とか言えば、ゴードンが「はいはい、わかりました、やっときますぅ」と言う。こうやって文字にするとつまんないが、実際7話だったかの「やっときますぅ」のイントネーションが絶妙だった。
長澤まさみは今、揺れに揺れて、体調が悪いようだ。しかたがない。正義感は彼女の部分であって全部ではなく、華やかな部分を守りたい部分もあるわけで、その部分と部分が引っ張り合うもんだから、ちぎれそうになってて痛くてたまらない。でも「必ずこっち側に戻ってくるさ」と、そこは安心している。
9話もまた8話に輪をかけて災いが飛び出してきそうな予告だが、あと2話で何かどんでん返しがあるなら、真犯人うんぬんではなく、鈴木亮平がどうなるか?だろうか。だって、彼の内面はあまり知らされていない、むしろ伏せていた?気がするから。
(以下、妄想を含みます)
またまた瑛太の話だが…井川晴美さんを殺した日、瑛太は「しし座流星群を見に山に行きましょう」って絶対そう言って誘ったんだよ。「言語などという目の荒いものではすくい取れないものがある(3話で長澤まさみに言ったセリフ)」的なことも絶対言ったに決まってる。しし座流星群は「願い事を叶えてくれる」という「希望」を与えてくれるけど、あるいは「山に行きましょう」等と言って「災い」の原因にもなり得るものだったんだね涙(ほんと、ついてっちゃだめです)
◎エルピス9話 12月19日(月)22:00~22:54 ◎エルピス1話~最新話FOD